子どもが関係する事件についての方針
子どもの問題についての方針
子どもの問題は,本来は「子ども自身」の問題であるにもかかわらず,ご相談にいらっしゃるのは親御さんであることがほとんどです。
当職は「子どもにとって何が一番良いのか」という観点から,子どもが関係する事件については,以下の方針で取り組んでおります。
このため,ご相談者である親御さんと当職の考えが一致しないこともあります。
そのような場合には,非常に残念ではありますが,ご依頼をお受けいたしかねますので,よろしくご理解いただければ幸いです。
以下に,特によくご相談いただくことが多い,面会交流と,児童相談所による一時保護がされた場合についての,当職の考え方を述べさせていただきます。
面会交流について
別居・離婚後も実際に子どもと暮らしていない非監護親と面会し,交流を行っていくことは子どもの健全な発達にとって,非常に需要なことであると考えています。
このため,当職は,別居中及び離婚後の子どもと非監護親との面会交流は,原則として行われるべきであると考えております。
もちろん,非監護親に子どもに対する虐待があった場合や,子ども自身が本心から面会を望んでいない場合には,面会を強制するべきではありません。
しかし,被監護親が子どもに悪影響を与えるという特段の理由もないにもかかわらず,感情的な対立から「絶対に合わせたくない」と手紙やプレゼントなどの間接的な面会交流すら拒否し,「会わせないで済む方法を教えてほしい」などというような子どもと暮らしている監護親からのご依頼はお受けいたしかねます。
子どもに対する一時保護がなされた場合の児童相談所対応について
お子様に対する児童相談所による一時保護がなされたということは,お子様の現在置かれている家庭環境が,お子様にとって良くないものと判断されるだけの何らかの原因があると思われます。
突然,お子様が一時保護されて,親御さんは混乱されていることかと存じます。また,インターネット上では,「児童相談所による連れ去り」など,一度お子様が一時保護されたら,もう二度と帰ってこないかのような情報が掲載されています。
しかし,児童相談所はむやみにお子様を家族から引き離したいのではありません。お子様を家庭に帰して問題がないと判断されれば,お子様はご家族のもとに帰ってくるでしょう。
したがって,お子様を養育している方には,まずはご自身のお子様への接し方やこれまでお子様を監護養育していた家庭内の環境に真摯に向き合うべきであり,もし問題があれば,反省し,改善していくべきであると考えています。
一時保護期間中には、児童相談所との面会が数回なされることと思います。
その際に,児童相談所から,お子様とのかかわりの中で,何に問題があったかについて,聞かされることがあるでしょう。
そのような場合には、児童相談所の指摘を真摯に受け止め,自身とお子様との関係を見直す必要があります。
この作業は,自身の子育てを否定されるようであり,非常に辛いものであると思います。しかし,親御さんとお子様が一緒に暮らしていくためには,不可欠な作業です。
また,お子様にとって不適切な養育をしてしまう背景には,親御さんのお気持ちの問題もあるかと思います。
しかし,誰も親御さんを責めたいわけではありません。親御さんにも辛いお気持ちがあったであろうことは,児童相談所の職員も含めて,皆,理解しています。
子どもだけの問題ではなく,親の問題としても捉えて,周囲の助けを得ながら,前向きにお子様の養育環境を整えていきましょう。
その上で,児童相談所の対応に不適切な点があれば,国家賠償請求などで争っていくべきです。
当職は,何よりもお子様が安心できる環境で生活を送ることが一番であると考えています。
このため,お子様に対して明確な虐待行為があるにもかかわらず,その事実を認めず,また反省することもなく,単に児童相談所の処分に対する不服申し立てや,国家賠償請求を求める養育者からのご依頼は,お受けいたしかねます。